2月8日

休日。午前中にシピの病院なので普通の時間に起きる。会社の人から連絡が来て、休日出勤しているらしい。繁忙期。休みの日に連絡が来ても嫌な気持ちにならない人間関係の職場というのは、まあ、やっぱり幸せなことだとは思う。洗濯を終わらせてしまって10時に病院へ。シピちゃん、重いです。すっかり大きく成長してキャリーケースも狭そうだし、次回の通院までにリュック型の大きいものを買わなければ。獣医さんと看護師さんに触られてぐるぐる嬉しそうに鳴くシピちゃん。看護師さんのお顔にちょいちょい手をのばしたり、両手を持たれて猫パンチを繰り出す遊びをされてもぼけ〜っとしている。体温測定もワクチン注射もぼけ〜っとしているから私の気付かないうちに終わっていた。平日お昼前ののんびりした街を歩いて帰る。シピのキャリーを持って歩くときはイヤホンをしないので、普段聞かないような生活の音がたくさん入ってくる。シピちゃんのことを考えると車に乗れた方がいいんだろうなと考えたりするペーパーゴールドドライバー。帰り道途中の小学校では校庭で体育の授業。向かいの中学校でも同じように体育の授業をしている。自分は小学校の頃から思考の基礎があんまり変わっていないので、私がもしここの児童だったら、このまま自分は何事もなく進級して、そのうち卒業したら向かいの中学校に進学して、向こう何年は環境も周りの人間も変わらない、なんておもしろくない人生かしら、と絶望しただろう。集団行動や校則や成績といったよくわからない枠にはまらなければいけなかった過去を思い返し、そんな窮屈な施設を両脇に有した道路を、猫を運びながら今のんびりと歩いている自分にとても気分が良くなった。私はたくさんのことから、責任を果たしながらちゃんと逃げてきた。

シピに昼ごはんをあげて眠たそうにするのを見守り、とりあえず体調に変わりはないので自分の昼ごはんを買いにスーパーに出る。お腹は減るのに食べたいものがわからない日々が続いている。お客さんが少なくて、レジも慣れていそうな店員さんだったのでポイントカードをようやく作ることができた。家にいると昼から飲酒してしまう癖がつきはじめた。別に大量に飲むわけでもないからまあいいか、と思う。和室で横になって、またシピと眠る。胃がきりきりと痛かったけど、お腹にシピちゃんがくっついてくれて暖かさで楽になっていく。自分より何倍も大きい別種の生き物に気を許して一緒に暮らしてくれるありがたさ。カビも治りつつあるから後頭部に鼻を埋めてみると見事に無臭だった。子猫だからか、お風呂に入れていたからか。浅く眠って、一瞬目が覚めた数秒後にLINEの通知が来た。第六感。返信をして少しずつ目を覚ましながら部屋を整える。目的地は変わらない。横道にそれたり逆の方向を向いたりしながら、それでもカーナビのように何度もルートを再検索して走り続けている。