11月6日

7時のめざましで目が覚めてyoutubeを流して、そのまま寝たり起きたりして結局ちゃんと起きたのは9時半だった。お腹が減るから動く。荷解きを少しする。段ボールを早く開け切ってしまいたいけどどうせまた数ヶ月後には引っ越しだと思うと面倒で放置している。宅急便が2件くるのでそわそわする。ヒヤシンスが先に届く。植物をまともに育てられる自信がないのでちゃんと調べてみるも、結局よくわからなくてとりあえず水につけずにそのまま冷蔵庫に入れた。1週間くらい様子を見てみようと思う。調べ続けていると球根を触った手で肌を触るとかぶれる人もいるらしい。怖い。

2件の宅急便を受け取ってベッドにいるとさらに眠い。昨日遅かったから。午後の予定をドタキャンしたい気持ちに襲われる。早く終わらせたい気持ちもある。家を出る時間を逆算してぎりぎりまで眠る。出発1時間前に起きて、届いたポケットwifiの設定をしながら適当にインスタント食品を食べる。こういうものに何度も命を救われている人生。

思っているよりずっと早く目的地に着く。都会が近すぎて楽しい。2年は暮らしたいのにお金がない。時間を潰すためにデメルでチョコを買う。人にあげるか、人と食べようと思う時だけこういったものを買える。寝起きが残っていて頭が回らず言葉に詰まる上に声も出なくて不審者。研修中の店員さんは不審者にも優しかった。たくさんの家族に揉まれながら、自分はもうここに未来を置かなくて良いのだと安堵する。同時に不安になる。それでも時間が余って珪藻土マットがあるかどうかニトリに見にいった。あった。先に買うとさすがに顰蹙なので帰りに買って帰ろうと算段する。

指定された喫茶店の前でもう着いているかと連絡すると入り口まで来た。日曜の15時は人がすごい。離婚話をするときはホテルのラウンジカフェがおすすめらしい、と職場の人に言われたのを思い出す。確かに。アイスコーヒーをお願いする。席を少し移動した。2時間もしない話し合いで離婚は決まった。自由と孤独は引き換えであった。書くことをためらうことが多くある。誰かに全てを聞いて欲しい。誰にも聞いて欲しくない。私の手元には間違いなく欲しかったものだけが残った。多くを手放したのと引き換えに。これから先も同じようにやっていく。欲しいものを求めて、非常に多くを手放して、大勢の幸せと生活を踏みにじった上に自分だけの幸せを築いていく。おいしいものが食べたくて再度百貨店の地下に戻ったけれど、先ほどよりも増えた人間のあいだを歩く元気がなかった。新居近くのスーパーでお惣菜と翌日のパンを買った。家に帰ってはじめて浴槽にお湯を張ろうとするとエラーが出るのでシャワーで溜めた。ぬるかった。傲慢で欲深い自分にはいつか罰が下ると思っている。お湯張りができない罰。

買った日には回らなかったキャンドルホルダーが無事くるくる回って気分が良くなる。ミラーボールみたいに周辺がキラキラする。ビールを飲んだのですぐに眠くなった。おいしいものをたくさん食べたいのに胃が小さくなったように思う。書けないことが多くある。美しいことほど書けない。絶望している。死ぬまで1人で抱えて生きていく。正しかったか間違っていたかの判断を下されないまま生きていく。安心である。寂しくもある。仕事を辞めて東京に行きたい。お金がない。自由になったのか、なっていないのかわからない。欲しいものを得るために多く手放したけれど、その欲しいものまで手放したら最後に何が残るのでしょうか。自分の外部に自分の多くを置くと同じ失敗を繰り返すだけであることもよく分かっている。この世のどこかに自分の半分が存在するだろうか。