11月27日

久しぶりに好きなアイドルを見た。5月のコンサートが中止になったので、その前に行った3月のミュージカル以来。やっぱり好きな子は好きな子で、舞台の上に立っていても彼自身の色が強すぎるから役に勝ってしまっていて、登場した瞬間にそれがわかるもんだから笑ってしまう。彼の良さである。カーテンコール。つらいことみんなあると思う、僕たちも実際ある、スタッフの人もある、でもいつも支えてもらってる僕たちがみんなのこと支えるし、背中を押せるようにステージに立ち続けるから。いつだって最後にアイドルはそう言って、舞台の裏に消えていく。

この前日、11月26日は私の最も愛するアイドルの誕生日だった。アイドルとファンという構造は、年齢を重ね色々なことを知り、考えれば考えるほど歪んでいる。矛盾している。それでもアイドルのファンを辞めようと思ったことは無くて、それは幼かった自分の命が確かに1人のアイドルに救われたことを、私だけはよく知っているから。未熟故に精神の大切な部分を踏みにじられていることすら気付けず、間違った愛を愛と刷り込まれ、誰を、社会のどの部分を頼れば良いのかも分からない14歳の子供を本当に正しく安全に救うのは、ただの人間には不可能だったろうと今でも思う。命と尊厳を守ってもらったのだと理解した時、私はこの先己の一生をかけて彼に恩を返すことを静かに決めた。自分が傷つくことになったとしても、絶対に彼を見続ける。信じたような存在ではない可能性も、いつか失う日が来ることも、消費されるコンテンツに祭り上げられていく姿を見なければいけないことも、どれほど大切に思おうが、絶対に、少しも、本当の意味で彼を理解するのは不可能であることも、全てわかっていた。盲目的で狂っていると思われようが、美しさしか救えない命がこの世には確かに存在している。彼は私を支え、背中を押し、人生から迷いの全てを取り払った。好きなものを好きと思う心と、美しいものを美しいと思う心を最後まで守り続けなければいけないと、今でも信じている。

これからもがんばっていきます。言いたいことが溢れすぎて頭と言葉と呂律がついてこない、支離滅裂でわかるようなわからないような、で、本人も面倒くさくなるのか最後は決まってにこにこの笑顔でゴリ押して、でも周りの誰もがなんとなく納得してしまう。愛らしくて強くてぴかぴか光る、まだまだ若い彼のいつもの姿を見ながら、少しだけ泣いた。作り上げられた美しさしか救えない命がこの世には確かに存在する。人間と神の間に立った男だけが私を救う瞬間がある。